良いサーチャーとは

特許調査というのは、IPDLなどを使えば誰でも無料でできる作業です。開業するのに、特別な資格もいりません。弁護士・弁理士などとは違い「自分はサーチャーです」と名乗れば、それで開業する事ができます。


また、当たり前の事ですが、どのサーチャーも「特許を収録した、一般的なデータベース」を使っています。特殊な情報源や、裏検索コマンドなどが存在するわけではありません。要するに、どのサーチャーも基本的には同等の情報源から情報を抽出・加工しています。そのため、外から見ると、サーチャーの力量の差は見えにくいのかもしれません。

無効資料調査なのに、審査記録も読まない。それどころか、審査記録を見るためのポイントがわからない。各種分類の運用基準をよく知らない。検索戦略・調査過程について、合理的な説明ができない。調査目的に合わせて検索戦略を最適化する事ができない。それでも、検索式を作り、報告書を書く事はできるのです。「こんなサーチャーでは困る」という点は、特に説明する必要もないでしょう。

上記のような点は、単に力量不足・経験不足からくるものなので、経験年数を積めば、努力次第で改善されてくる面もあるでしょう。しかし、ある程度力量があるはずなのに、何のために・どんな方針で調査するのかを、きちんと説明しないサーチャー、こちらも良いサーチャーとは言えないと思います。

次に、良いサーチャーについて考えてみます。

一般的によく聞くのは「技術分野は合っているか」という事です。確かに、自社技術とイコール、あるいは近い分野を経験しているサーチャーなら、心強いので、これは一理あると思います。

しかし、自社技術と同一分野の経験が豊富、というサーチャーはなかなか見つからないのが現状だと思いますし、仮にみつかったとしても、「競合他社の出身だった。どうしよう。」と逆に躊躇する事になるかもしれません。もちろん、通常の調査会社であれば、顧客から預かる機密情報を漏洩する事はありませんし、機密保持契約の締結には応じるはずなので、幸運にもそのようなサーチャーと出合ったら、機密保持契約を結んで業務依頼するのも一案です。

もし、技術分野的に合いそうなサーチャーがいなかった場合、一番いいのは「苦手な分野、受けられない分野はありますか?」と、直接聞いてみる事だと思います。あまり良い話ではありませんが「○○はできますか?」と確認すると、仕事が欲しいので「できます。」と返事をするケースもないとは言えません。また、良心的なサーチャーならば、「化学はお受けしていません。」とか「ソフトウェアはちょっと経験がなくて」という風に、正直に言ってくれる方がほとんどだと思います。


次に、特許調査はやはり「出てきた結果」が大事です。ここで、平均点、安定性というお話をしたいと思います。サーチャーの中には常に80点前後の結果を出す、安定したタイプと、時には30点・時には100点の、波のあるタイプがいるように思います。

どちらが良いか、というと、これは依頼者さんの側で判断する事でもあり、一概には言えませんが、定期的に依頼するとか、安定した調査結果が欲しい場合は、安定したタイプですし、無効資料調査などで「どうしても大当たりが欲しい」場合は、波のあるタイプの方が、「どうやってこれを?」というような資料を見つけてくるケースが多いようなので、それを狙うのもひとつの戦術だと思います。

平均タイプか、波のあるタイプか、というのは、依頼前には判断しにくい事かもしれません。 これは、個人的な経験則ですが、特許分類を駆使するサーチャーは、調査結果が安定する傾向があります。その理由は、分類自体が特許庁側で「80点以上の結果が出るように」設計されているからです。(分類付与の段階で、正解率80%が基準値になっています。)一方、キーワード検索がとても得意な方は、時折 "大当たり" を見つけるタイプのように見受けられます。

もちろん、どちらのタイプであっても、選んだ分類・キーワードが見当違いなものであれば、適切な結果は得られません。検索方針について、依頼者に十分な説明ができる事が、いずれのタイプでも必須の資質だと思います。

以上、いろいろと見てきましたが、良いサーチャーとは、次の3点が重要だと思います。

1.サーチャーとして、出願権利化まで含めた基本的な知識があり、検索戦略に適切に反映できる、ということ。当たり前の事ですが、実際には出願権利化の知識が乏しいサーチャーがいるのも事実です。

2.自分の不得意分野なども、正直に話せる事。できない分野を「できます」と言われても、後々困るケースが発生するかもしれません。また、大手の調査会社は別として「どんな分野でもできます」というのは、かえって真実味がないように思います。

3.検索戦略について、わかりやすく・十分に説明できること。調査スキルに問題はないとしても「何となくこんな範囲で調査してみて、こういう結果ですけど。」では、結果を受取っても不安が残りますし、調査依頼した事を後悔されるのではないでしょうか?



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